「うなされてたぞ」
目を開けてすぐ、そう声をかけられる。
「それなら起こしてよ」
顔を動かし声の方を見ると、セシルはわたしを見ていた。その顔は、いつもよりだいぶ生気があるけど、いつもより重苦しい雰囲気だ。
だが、言葉は意外といつも通りで、重苦しすぎはしない。
「貧血で倒れてたことにしておいた」
「間違ってはないね」
ゆっくりと体を起こし、辺りを見回す。
ここは……保健室か。ベッドの周りがカーテンで囲われている。
まだちょっとダルいけど、血をあげちゃったのだからしょうがない。
「今って何時?」
「もうすぐ六時間目が終わるとこだ。帰りの会になる前に起こした方がいいだろ?」
「うん。助かる」
帰りの時間まで起きてなかったら、普通親に連絡が行っていただろうけど、わたしは親は遠くに住んでいて迎えに来ることが出来ないから、他の知り合いに連絡が行く事になるのでいろいろと面倒くさいのだ。
今回の場合、血をあげたのが理由なのも相まって、本当に起こしてくれて良かった。
スカートの隠しポッケからスマホを取り出し、協会から連絡が来て無いか確認する。
「何か連絡が来てるのか?」
外には先生がいるのか、セシルはさっきより潜めた声で尋ねた。
わたしも外には聞こえ無い程度の声で答える。スマホを持ち込んでいるのは、まぁバレてもいいけど、吸血鬼とかの話は聞かれたくない。
「ううん、何にも来てない。協会は学校内に侵入した吸血鬼がどんなやつか、今どうしているか、まだ分ってないみたいだね。でも、真っ昼間に行動して眷属作っている辺り強いやつだろうから、注意は必要だね」
そのくらいは分かっている。
とか言うと思っていたのに、セシルが何も言わないからわたしがスマホから顔をあげると、彼は俯いて指を組んでいた。



