暗い、暗い闇の中に立ち尽くしていると、ぽつり白い光りが浮かび上がった。それは、だんだんと人の形になっていく。
「セシルくん」
彼女は、真っ白な雪みたいな子だった。触れたら溶けてしまいそうなくらい、細くて、弱そうで、儚い。
写真で見た彼女は笑っていたが、今そこに立つ彼女は笑っていない。
「ごめんね、セシルくん。わたし、セシルくんに謝らないといけない事、いっぱいあるの」
泣きそうな彼女に、誰かが近づいていく……あれは、セシルだ。
セシルが何を言っているのかは分からないけど、「大丈夫だ。謝ることはない」とか言ってそうな感じ。
彼女の隣に立つセシルは、普段より顔色が良くて、怖い雰囲気もなくて、そして、彼女に向ける目が驚く程優しい物だった。
昔は……彼女が隣に居た頃は、こんな感じだったのかな。
「ごめんね、ごめんね」
泣き出した彼女はセシルの手を振り払って、背を向け、走っていく。
「あ、待って」
わたしは自然と彼女に向って手を伸ばす。
だって、だって、
「行っちゃ駄目! 待って! セシルが! セシルが!」
喉が裂けそうなくらい大きく叫ぶのに、声は届いていないのか、彼女は走って言ってしまう。その後ろ姿は、パラパラ漫画みたいにカクカクで……夢みたいだ。
そう思った瞬間、目が覚めた。



