吸血鬼ってのは人間より、頑丈で、怪力で、素早いものだから、わたしだって人の中では足が速いほうだけど、決してセシルに追いつけない。
見失ったら吸血鬼の場所が分からなくなるから、なんとかセシルの背中を見失わないように追いかける。
助かったのは、保健室から、特別教科教室がある北棟、北棟階段と、人が居ない方へ進んでいった所。
人が多かったら絶対途中で追いつけなくなっていたし、そもそも爆走しているところを見られたくない。
セシルの後を追って階段を四階分駆け上がると、階段の先、屋上のドアが開いていた。
「うわ、寒」
屋上に出ると、セシルはすでに何かと相対している。
人型では無さそうだから、吸血鬼じゃなくて眷属?
駆け寄れば、その姿がよく見えた。
それは、教室に置いてあるのと同じ形の机だった。
長い間屋上に放置されていたのか古びた様子だけど、吸血鬼によって眷属にされた机は、命を持った生物のように、エネルギッシュに動き回る。
セシルは机を掴もうとするけど、ぴょんと逃げられ中々上手くいかないみたい。
空を見ると、天気は曇り。結構分厚いから、日光で弱まる事は無さそう。
吸血鬼はいないから、あれだけを眷属にして去ったのかな。なんて、傍迷惑な吸血鬼だ。
スカートの隠しポケットに入れていたスマホで協会に眷属発見の緊急連絡だけして、セシルの学ランは地面に置く。
そして、セシルと眷属の間に飛び込んだ。



