戦う二人〜吸血鬼ハンターと吸血鬼〜



わたしの返事に気づいたセシルは文字を書き足す。


【ウソつかなくてもいいのに】


それを見て、私も書く。


【眠いなって思って、あなたはどうなのか見ただけ】

【オレは後で保健室に行く】

【ずる】

【そう思うなら、お前も寝に行けばいいだろ】

【わたし真面目だから】

【真面目ならちゃんと授業受けろ】


書きづらいだろうに、セシルは右手を伸ばしてわたしのノートに文字を書く。その反対の左手は、当然だがまだ包帯が巻かれている。

……わざわざ、自分を傷つける方法とらなくてもいいのに。

今朝、セシルが使った自分の血を拳に纏わせてダメージを与える技は、吸血鬼やその血を貰った眷属にとって、自分の血族以外の吸血鬼の血は毒の様なものという特性によって思いつき、生まれたものだ。

吸血鬼にはそれなりに効いて、眷属なんて身が溶けてしまう程効く強力な技だが、血を流しながら戦う技が体にいいわけが無い。

あの時使えるセシルの戦い方はそれくらいしかないのは知っているけど、あまり使わないでほしい。

……わたしが、刀の使い方でも教えた方がいいのかな。
でも、戦う技術を取得したら、今以上に敵に突っ込んで行っちゃいそう。

『また白菊に会いたいんだ!』

そう言って、怪しげな術に手を出そうとしたセシルを思い出す。

セシルがわたしとバディを組んで、吸血鬼と戦っているのは白菊さんを吸血から取り戻すため。

彼女のためなら、セシルはどんな無茶だってしちゃうだろう。


「ごめんね」


何故急に、セシルにも聞こえ無い程の声で謝ったのかは自分でも分からない。ただ小さく口からこぼれ落ちた。


【なんか言ったか?】

【なにも】