ほたる先生は振り向かない

外は暗くなってきてもまだまだ暑くて。

逃げ込むみたいに涼しいゲーセンに立ち寄って、プリクラを撮った。

撮ったあとすぐに移動して編集画面に切り替わる。


狭いスペースに身を寄せ合って、ああでもないこうでもないと加工しまくっていく。
玲奈の編集具合がすさまじい。

「待って、もうちょい目を盛りたい」

画面を凝視して、もはや私に触らせてもくれない。


「もう十分だよ。原型ない」

「やだ!まつりはそのままでも可愛いのに私ばっか普通じゃん?」

「いやいや…」

「リップの色変えよっかな」

「ねぇ、時間ないよ」

「待ってー!チークも入れたいのにー!」

「スタンプ押しとけば?」


うだうだ言っているうちに、あっという間に編集時間は終了してしまった。

玲奈が嘆くように印刷されるのを待ちながらつぶやく。

「はぁー。盛れたのだけスマホに送るわ」

「ははっ、なんでもいいよ」

「私にもまつりみたいな余裕が欲しい」


そんな言うほど余裕なんて、私にはないけどね。
……という言葉を、あえてここでは言わないでおいた。


「玲奈、UFOキャッチャーしたい。いい?」

印刷完了ホヤホヤのプリクラを手にしている玲奈の手を、私はぐいっと引っ張る。

「お、なんか欲しいのあった?」

「うん」


やかましい音があちこち飛び交うゲーセンの中を、ふたりでバタバタと練り歩く。

たどり着いたひとつの箱の前で、隣にいる玲奈が「え…」と一瞬引くのが分かった。


「まつり、マジでこれ欲しいの?」

「めっちゃかわいいじゃん」

「どこが?」

「……主に、目?」

「死んでんじゃん!」