ほたる先生は振り向かない

「だからこーやって会ってんじゃん。このあとどこ行くー?」

「カラオケも行きたいけど、推しのコラボカフェも行きたくってさぁ」

「コラボカフェ高くない?」

「推しにはいくらでもつぎ込める!」

「バイト増やしたんだっけ?」

受験生だっていうのに、玲奈は違う方向に熱心だ。

それがまるで正義かのように誇らしげにガッツポーズを見せてきた。

「先月の稼ぎは全部推しに使っちゃったからね」

「コラボカフェ行くんなら今月も使うってことね…」


私のやんわりしたツッコミは、あまり気にも留めていないのか玲奈は笑っていた。

「ママにお小遣いねだってもくれないしさぁ」

とかなんとか愚痴ってもいる。


私は残り半分のフラペチーノをサーッと飲み干すと、まだオープニングトークが終わらない玲奈に

「ゲーセンも行きたいな」

と一応自分の希望も言っておいた。


「いいよ!なんか欲しいのあるの?プリ撮る?」

「うん。プリ撮る。あと、ぬいぐるみなんか欲しいなーって。スクバにつけたい」

「おっけー!寄ろう寄ろう」


私たちは他愛もない会話を、少し賑やかな店内でしばらく続けた。



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