別れてくれない?浮気性彼氏くん。

ープーッ、プーッ……


言ったんだ。別れてって。自分の口から。


今は3時10分。


1時間ちょっとも電話していたらしい。


それなのに、母らはまだ帰ってこない。


ネオン街でも行ってんだろう、どうせあの2人のことだから。


もしかしたら、いつか逮捕…されちゃったり?


そんなことないでしょ、と自分に言い聞かせる。


重い体を椅子から剥がし、冷蔵庫の扉を開けて。


そこからひんやりとした麦茶を取り出し、ムキになった勢いで瓶のまま飲んだ。


「冷た…」


つい、漏れた心の声。


その言葉は、かすかな風の音にでもかき消されてしまうほど、弱くて情けない。


「伊桜里、やっぱあんた最低だよ、私結構メンタル鋼なのに……」


手に持ったままで、するりと抜け出しそうになっていた麦茶の瓶を、慌てて強い力で持ち直す。