別れてくれない?浮気性彼氏くん。

トーク画面に再び飛び、ビデオ通話を押しそうになったのをこらえた自分に拍手喝采。


音声通話を選び、渡邊が出るまでおよそ2秒。


「乃慧っ!!!」


その息遣いは荒く、電話の音を聞いて駆けつけてきてくれていたのかな、と期待してしまう自分が(いま)だいることに、我のことながら呆れる。


「うるさい、今何時だと思ってんの?一軒家だからって…」


「いい、親いねーし。今2人でラブラブしながら海外出張行ってるわ。羨ま〜」


「そっか、私んとこも今さっき出てったよ。」


「そっか、相変わらずだな。」


「ご飯は?大丈夫なの?」


「うん、親が渋沢栄一2枚置いてったから」


「マジか」


「……悪い、乃慧。浮気なんか…」


「うん、悪いよ、渡邊」


多分、今際渡邊の顔は、『渡邊』と呼ばれたことへの驚きと絶望で、グシャグシャになっているであろう。


「今だけは伊桜里って呼んで」


内心は嫌だけど……最後くらい…