逃げられるものならお好きにどうぞ。



「……もしかして、今のって冗談だった?」



心配になって聞いてみれば、黒瀬くんは緩く首を横に振る。



「いや、ごめん。すんなりいい返事がもらえるとは思ってなかったから、驚いただけ。冗談なんかじゃないよ」



まあ確かに……今までの私の態度を振り返ってみれば、中々に素っ気ない返しをしていたかもしれない。

だけど自分の気持ちに気づいてしまった今、気になる男の子にデートに誘われたら、嬉しくてすんなり頷いてしまうのは当然のことだと思う。



黒瀬くんはスマホを取り出して操作しながら、


「俺、その日の日中は副業の仕事が入ってるんだ。だから夕方の十七時に……日比谷駅で待ち合わせでもいいかな?」


少しだけ申し訳なさそうな顔をして確認してくる。



「うん、大丈夫だよ」

「よかった」



こうして、曖昧な関係である黒瀬くんとの、クリスマス・イヴの予定が決まった。