逃げられるものならお好きにどうぞ。



「……ククッ、やっぱりおれの勘って冴えてるなぁ」



黒瀬くんの登場に、長髪の男性が、何故かクツクツと笑い声を漏らしている。

黒瀬くんは私から離れると、男性を睨みながら、聞いたことのないような低い声を響かせた。




「……この人に何した。何言った。返答次第では……殺す」




――まさかの黒瀬くんが、マジギレしている。


その圧に私までびびってしまいそうになりながら、でもこの状況で何をどうしたらいいのかも分からず、黙って様子を見守ることしかできない。



黒瀬くんに睨まれている男性は、尚も笑い続けながら、視線を逸らすことなく黒瀬くんをじっと見据えている。