逃げられるものならお好きにどうぞ。



「……あの、そこに座るんですか?」

「はい。駄目ですか?」

「いえ、駄目というか……」



右隣から、ひしひしと三奈の熱い視線を感じる。



「えっと、三奈…友人の隣も空いているので、良ければそちらに座ってもらえませんか?」

「あー……すみません。僕、今日のラッキースポットが左の席だったんです。なので此処で」

「……それじゃあ私、友人と席を替わりますね」

「あ、待ってください。今日の僕のラッキーパーソンは、髪の長い女性なんですよ。なのであなたはそこに座っていてください」

「……」



髪の長い私とショートヘアの三奈を交互に見た男性が、ニコリと笑って言う。



――何なのこの人。

ただの変わり者なのか、物凄い占い信者か何かなのだろうか。とりあえず、変な人であることには間違いなさそうだけど。