逃げられるものならお好きにどうぞ。



「はぁ、私クリスマスまでには彼氏が欲しいのよねぇ」

「クリスマスまでもう一か月もないし……難しいんじゃない?」

「いや、そんなことないわよ! 諦めたらそこで試合終了! もしかしたらイケメンが降ってくる奇跡が起きるかもしれないでしょ!?」



どうやら三奈はクリスマスまでに恋人を作るつもりらしい。

来週に控えているらしい合コンの話を聞き「頑張ってね」と応援の言葉を掛ければ、三奈は何故か、私にジトリとしたまなざしを向けてくる。



「というか、私ばっかり話してるけど……百合子はないわけ? そういう話」

「え、私?」

「百合子って黙ってれば美人だし、普通にモテるでしょ! 最近周りにいい感じの男とかいないの?」

「黙ってればって……」



喜んでいいのか微妙な褒められ方をされてしまい、空笑いを漏らしてしまう。

最近関わりのある男の子といえば、職場の人と黒瀬くんくらいだけど……。



そういえば三奈には、あの日黒瀬くんに出会ってから、そのまま流れで交流があるということを伝えていなかった。そもそも黒瀬くんの存在すら伝えていない。

まぁタイミングがなかっただけなんだけど。


三奈になら話してもいいだろうと思って口を開こうとした、そのタイミングで、背後から聞き慣れない男性の声が届いた。