逃げられるものならお好きにどうぞ。



「なっ……! ちょっと、いつの間に!?」

「え~、入籍も挙式も落ち着いたらって言ってたけど、とうとうってこと?」



――そう。椿くんにプロポーズ(?)らしきことをされた、約一年前のこと。

イエスの返事をかえしたのはもちろんだったけど、あの時は場所も場所だったし、後日話し合ったすえに、直ぐには無理だろうということになって(まぁ椿くんはすぐに結婚したいってごねていたけど)落ち着いたら式を挙げようねって約束していたんだ。


薬指で光っているこの指輪は、日を改めて、椿くんからプレゼントしてもらったものだ。

今回の帰省は、私の両親への改めての報告も兼ねている。

私の一か月間の出張が終わったら入籍して、式の準備も進める予定だ。



「……そうか、いよいよ結婚するんだな。おめでとう」



目が合った皇さんは、目元を和らげて、優しい顔で笑っている。



「……ありがとうございます」

「もちろん、式には呼んでくれるんだろ? 嬢ちゃんの花嫁姿、楽しみだな」

「そうよ! 百合子ちゃん、ドレスはもう決めたの? まだなら私も相談にのるわよ!」



詰め寄ってくる美代さんたちの質問に答えていれば、一発目の花火が打ち上がった。

夜空に咲く大輪の花に、目を奪われる。