逃げられるものならお好きにどうぞ。



「だって、百合子ちゃんが教えてくれたんじゃない? 地元の花火がすっごく綺麗だって。全国的にも有名だし、いつか見てみたいって、ずっと気になってたのよ」

「そうそう。それに椿ばっかりズルいじゃん? あー、俺もグラマー美人な彼女がほしい……!」



シートの上で脱力しながらぼやいている萌黄さんに、椿くんが何気ない一言を放った。



「まぁ、もう彼女じゃなくなるんだけどね」



椿くんの言葉を聞いた美代さんたちは、ピタリと黙り込んだかと思えば、バッと勢いよくこちらに振り向く。



「えっ。アンタたち、もしかして……」



椿くんに左手をとられる。

そして、指を絡めるように繋がれた。



「彼女じゃなくて、お嫁さんになってもらうからね」



私の薬指にきらりと光っている指輪を見て、美代さんと萌黄さんは揃って口許を手で抑えた。