「……分かったよ。でも今は外だし、やっぱり人目もあるから……」
「それじゃあ人目がなければいいってことだよね? 帰ってからが楽しみだなぁ」
言質をとったでも言いたげに笑みを深めた椿くんは、満足げに声のトーンを上げながら、私の手に指を絡めるようにして繋いでくる。
――これは……帰ったら、色々と覚悟しないといけないかもしれない。
後でのことを考えてほんの少しだけ憂鬱な気持ちになりながらも、こうして椿くんと一緒に花火を見に来れたことは、やっぱりすごく嬉しくて。
「……今回の喧嘩でね、椿くんに嫌われちゃったかなって……正直、少しだけ怖かったんだ」
思わず、ぽつりと本音を吐露してしまった。
私の言葉に、まるで予想外だと言わんばかりの顔をして目をぱちくりさせた椿くんは、おかしそうに目を細める。
「あはは、まさか。それだけは死んでもないから、安心してよ。……百合子さんが思ってる百倍は愛が重いからさ、俺」
――だけど椿くんは、私のちっぽけな不安なんて、瞬く間に吹き飛ばしてくれるんだ。



