「つ、椿くん?」
「はぁ。やーっと見つけた」
私の隣に座った椿くんは、よく見れば、こめかみから汗が伝っている。
……もしかして、私を探してくれていたんだろうか。
でも、この広い会場で、どうして私を見つけられたんだろう。
「どうして私がここにいるって分かったの? こんなにすごい人なのに……」
疑問をそのまま口にすれば、椿くんはにんまり笑いながら目を細める。
「ん? それはもちろん愛の力で。っていうのもあるけど……」
椿くんは、私の手首に巻き付いている腕時計を指さす。
シンプルでどんな服にもなじみやすいっていうのもあって、最近は毎日のように身につけている。
「気に食わないこの腕時計が、役立つ日がくるなんてね」
「……え、どういうこと?」
「こういうこと」
椿くんは、自身のスマホの画面を見せてくれる。
そこには地図が映し出されていて、赤い丸がピコピコと点滅している。
――どうやら椿くんは、皇さんに貰ったこの腕時計のGPS機能を使って、私の居場所を特定したみたいだ。というか、いつの間に自分のスマホにアプリなんて入れていたんだろう。



