逃げられるものならお好きにどうぞ。



だから私は、予定よりも一本早い時刻の新幹線に乗ることにしたんだ。


学生組は夏休み中ということもあってか、新幹線は満席状態だった。

運よく指定席を確保することができてよかった。


歩いてきた車内販売のお姉さんから珈琲を買って、乾いた喉を潤す。

そのままぼんやりしていたら、手に持ったままだったスマホが、マナーモードで着信を知らせる。


確認すれば、相手は椿くんだった。

でも今は車内だし……何を言われるのか、やっぱり少しだけ怖い。



(……向こうについてから、折り返せばいいよね)



そう決めた私は、スマホの電源を落として、イヤホンを耳に差し込む。

目を閉じて、後ろ向きになりそうな思考を強制的にシャットダウンすることにした。