「ありがとね、憂美さん。でもさ……もうこれで、お終いだね」
「……お終いって、何が? どういうことよ」
「憂美さんとは、もう二度と会わない。どこかですれ違うことがあるとしても、俺の大切な人を陥れようとした人と仲良く立ち話することもないし。だから……これで本当に最後ってこと」
「っ、何よ、それ……」
「あぁ、それから。今後百合子さんを傷つけるような真似をしたら、俺は容赦しないから。それだけは覚えておいて」
優しい顔で笑っていた椿くんだったけど、突然、眉根を寄せた真剣な顔つきになった。
椿くんの雰囲気がガラリと変わったことに、憂美さんも動揺しているみたいだ。
「な、何で……何でよ! 私しかいないって、そう言ってたくせに……!」
「うん、あの時はそう思ってた。憂美さんは俺の中にある孤独を埋めてくれる存在だったから。だけど先に俺を捨てたのは、憂美さんだったよね」
「あ、あれは、違うのよ! 私の一番は椿で……!」
「あぁ、別にもうどうでもいいから。弁明もいらないよ。今の俺にとっては、百合子さんが全てで……あとはもう、どうでもいいからさ」
椿くんは冷たい声でそう言い放つと、座りこんでしまった憂美さんに背を向けた。
そしてすっかり見慣れていた、けれど最近はずっと見ることのできなかった優しい笑みをその顔に浮かべて、私のもとに歩いてくる。



