「……憂美さんは、過去に囚われているだけです」
「っ、はぁ? 貴女に何が分かるのよ!」
「憂美さんの考えていることなんて、私には分かりませんよ。でも、憂美さんのやり方が間違っていたことだけは確かです。……過去に囚われているのと、過去を大切にすることは、違うと思います」
――そうだ。憂美さんは、過去に縛られたままなのかもしれない。
だから、先に進んでいる椿くんに、置いていかれるような不安を抱いて、繋ぎとめようとして……こんな暴挙に出たんじゃないのかな。
「憂美さんは……あの頃の俺にとっては、確かに大切な人だった。消えない寂しさや孤独を、ただ埋めたくて……憂美さんに依存してたんだって、今なら分かるよ。多分それは、愛とかいう綺麗な感情より、もっとドロドロしたものだったけどさ……それでも、憂美さんと過ごす時間は、俺にとってかけがえのない大切なものだったよ」
「椿……」
憂美さんの言い分を静かに聞いていた椿くんは、自身の胸の内を語り始める。
憂美さんはそんな椿くんの言葉に聞き入りながら、目を瞠っている。



