逃げられるものならお好きにどうぞ。



「ふっふー、びっくりした?」

「び、びっくりしたっていうか……どうして此処に……?」

「それはぁ、依頼を受けたから、だね」



店内は薄暗いし、髪の毛もセットされていていつもと雰囲気が違うから、全然気づかなかった。



「百合子ちゃん、それよりあれ。よーく見てみなよ」

「見てって、何を……」



萌黄さんが指さす先は、騒ぎが起きている出入り口の方だ。

言われた通りに視線を移せば、人混みの中、そこにもまた、よく知る人物がいたわけで。

その人は、取り押さえようとしてくるバー店員や、殴りかかってくる客らしき男たちと乱闘を繰り広げている。