逃げられるものならお好きにどうぞ。



「……それを分けてもらえませんか?」

「そうだなぁ。試作段階とはいえ、こいつには莫大な金をかけてるからなぁ。本来なら、分けてやるなんてありえない話だが……俺たちは優しいからよぉ。特別に分けてやってもいいぜ」

「っ、本当ですか?」

「あぁ。……だがなぁ、タダでやるわけにはいかねぇよな」

「……対価はなんですか?」



男たちは目配せし合うと、持っている解毒剤とは別の錠剤を取り出してみせる。



「嬢ちゃんには、これを飲んでもらいたいんだ」

「……何ですか、それ」

「これはなぁ、嬢ちゃんのオトモダチが手違いで飲んだ薬の、進化版ってところだな」

「進化版?」

「あぁ。これで完成、と言いたいところなんだが……ただなぁ、ちーっと威力が強すぎるかもしれねぇんだ。俺らは特定の記憶だけを消す薬を作りたいんだが……下手したら、持ってる記憶全部吹っ飛んじまうかもしれなくてよぉ」



告げられた言葉に、ゾッとしてしまう。