逃げられるものならお好きにどうぞ。



「斎川か。……そちらの女性は」

「ユミの招待客だ」

「あぁ、例の……。分かりました。どうぞ、こちらに」



出入り口に控えていたバー店員らしき男性は、私を連れてきてくれた男性と短い会話を終えると、私を先導して歩き出す。

その背を追いかけながら視線を彷徨わせれば、室内には数十人の男女の姿があった。


ソファに座りながら親密そうにピタリと身体を寄せ合っている人たちもいれば、周りの目なんてお構いなしに熱い口づけを交わしている人たちもいる。

辺りに広がる、むせかえるほどのアルコールの匂いに、何だか具合が悪くなりそうだ。



「どうぞ」



案内された先に待っていたのは、ガラの悪い三人の男達だった。

むき出しになっている腕には刺青が彫られていて、頬に刀傷のようなものがある男もいる。


どうやら酒を飲んでいたようだ。

私を一瞥すると、下卑た笑みを浮かべながら手招きされる。