「これからも椿のこと、よろしくお願いします。……って、俺ただのダチなのに、何様って感じですよね」
「ううん、そんなことないよ。田中くんみたいに気にかけてくれるお友達がいて、椿くんは幸せだと思う」
「へへ、そうっすかね?」
照れ臭そうに笑った田中くんは、この後予定があるらしい。
話に付き合ってくれたお礼だと言って、レジ横で売っているチョコレートの焼き菓子をわざわざ買ってきてくれた。
「今日は話せてよかったです! 今度は椿も交えて、三人で飲みにでも行きましょうね!」
「うん、そうだね。私も話せて楽しかったよ。お菓子もありがとう」
店を出ていく田中くんを見送った私は、スマホに登録したばかりの連絡先宛てに、文字を打ち込んで送信した。
「……よし」
田中くんと話せたおかげで、ごちゃごちゃと考えていた頭の中がすっきりした気がする。
もし椿くんの記憶を戻す方法があるなら、私はそれが知りたい。
だったら悩む必要なんてない。
もし罠だったとしても、椿くんの記憶を取り戻せる可能性が、ほんの少しでもあるのなら……やらないで後悔するくらいなら、今自分に出来ることを頑張りたい。



