「さっき一緒にいたのって、椿よね?」
「え? ……はい、そうですけど……彼と知り合いなんですか?」
「えぇ。椿はね、一時期私が面倒を見てあげていたことがあるのよ」
「……面倒を、ですか」
もしかして、と思ってはいたけれど……やっぱり憂美さん、椿くんと知り合いだったんだ。
それに、憂美さんの口ぶりから察するに、ただの知り合いっていうわけではなさそう。
それ以上言葉が出てこなくて黙り込んでしまえば、ニコリと笑った憂美さんが、一歩距離を詰めてきた。
くるんと上を向いた睫毛の下から覗くブラウンの瞳は、私の片耳に向けられている。
「あら! そのピアス、とっても素敵ね。もしかして、椿とお揃いなのかしら?」
「はい、そうですけど……」
「そう、本当に仲が良いのね。……実はね、椿のピアスホール、昔私が開けてあげたのよ。でも、あの時の椿ったら、涙目で痛いって私に抱き着いて甘えてきてね。外ではカッコつけのくせに、実際は結構お子ちゃまよね」
憂美さんは「ま、そんなところも可愛いんだけど」と付け加えながら、口許に手を添えてクスクスと笑っている。



