逃げられるものならお好きにどうぞ。



「ふーん、そっか。皇さんはこのお姉さんのことが好きなんだ?」

「……だったらどうすんだ」

「別にいいんじゃない? 俺には関係ないことだし」

「っ、オマエなぁ……!」

「あ、あの!」



再び殴りかかりそうな雰囲気の皇さんの腕を掴んで、止めに入る。



「私は、何も気にしてないです。大丈夫なので」

「嬢ちゃん……」



物言いたげな顔をした皇さんだったけど、私の顔を見て、握っていた拳を下ろしてくれた。

ホッと安堵の息を漏らしていれば、座りこんでいた椿くんが立ち上がる。そして、おもむろに距離を詰めてきたかと思えば、顔を近づけられた。

反射で一歩下がるけど、椿くんは開いた距離を縮めるようにまた顔を近づけてくる。