「最近、違法薬物の一種で裏で出回ってる、ヤバいクスリがあるらしい。それの副作用として、記憶障害を起こしちまうっつー噂があるんだ」
「記憶障害って……それじゃあ、もしかしたら椿くんは、その薬のせいで、私のことも忘れちゃったってことですか?」
「まぁ、可能性の一つだが……」
「それって、記憶を戻す方法はないんでしょうか……?」
その薬が原因で、椿くんが私のことを忘れたのだとしたら。このまま記憶が戻らなかったら……どうしよう。
言いようのない不安がこみ上げてくる。
「俺も噂に聞いただけだから、詳しいことは知らねーんだ」
「……そう、ですよね」
「んな落ち込むな。薬についてはこっちで調べてみる。もしその薬が原因なら、きっと記憶を戻す方法もあるはずだ。だから嬢ちゃんは、記憶が戻った椿への説教の言葉でも考えとけ」
少しだけ荒っぽい手付きで頭を撫でられる。だけど伝わる熱から、皇さんが私を励まそうとしてくれているんだって、すぐに分かった。



