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「美代さぁ、あれ、いいわけ?」
「……あれって、何のことよ」
眠ってしまった百合子を横抱きにした慎二は、そのまま店を出ていった。その姿を視界に収めながらも、美代はあえて気づいていない振りをして尋ね返す。
しかし、それで誤魔化されてくれないのが萌黄拓斗という男だ。
「またまた~、とっくの前から気づいてるくせにさぁ」
「……そうね。慎二さんの気持ちが百合子ちゃんに向いてるってことくらい、とっくに気づいてたわよ」
「だよねぇ。あんだけ熱のこもったまなざし向けてたら、誰でも気づくでしょ。でも、いつもみたいにマウントとったり牽制しなくていいわけ?」
これまで美代は、慎二に近づいてくる女どもは自らの手で蹴散らしてきた。
美代が手を下す前に、美代のその美貌を前にして、勝ち目はないと自ら身を引くものが多かったのも事実だが。



