「俺に貰われる覚悟は、当然できてるよね?」
コテンと首を傾げた椿くんは、アイスの棒を持っていない左手で、汗で額に張り付いていた私の前髪をそっと整えてくれる。
「……それは、椿くん次第かな」
「俺次第って、どういうこと?」
「んー……椿くんはこれから先も、バーテンダーの仕事と並行して、皇さんから頼まれた仕事を続けていくよね?」
「まぁ、そうだね」
「だよね。それは仕方ないって分かってるんだけど……でも、私を貰ってくれるなら、なるべく怪我はしないでほしい。それに、最後には絶対に私の所に帰ってきてくれるって、約束してほしい、……です」
椿くんが私を大切にしてくれていることは十分に分かっているし、すごく嬉しい。
でも私は、椿くんに、椿くん自身のことをもっと大切にしてほしい。
椿くんが強いってことは知っているけど、だからって、絶対に大丈夫だなんて確証はない。不安は消えてくれない。
京都で椿くんが刺されてしまったことは、少しだけ……ううん、正直かなりトラウマになっている。



