「はっきり言えなくて、曖昧に笑って、黙ってやり過ごそうとしてた私も悪かったと思う。でもね、あの時私は……悲しかった。小林に揶揄われることが、すごく嫌だったんだよ」
「……は? で、でもお前、俺とお似合いとか言われても、否定してなかっただろ?」
「うん、そうだね。だってあの場で否定したって、余計に揶揄われるだけだって分かってたから。初めは否定してたけど、誰も信じてくれなかったから。だから……何も言わないで、黙ってた」
我慢して、気持ちを飲み込んでしまえば、その場は穏便にやり過ごせたかもしれない。
だけど、こうしていつまでも、あの時のことを思い出してしまう。悲しい記憶となった小さなしこりは、胸の中にずっと在り続ける。
それを消し去るためには――やっぱり私は逃げないで、小林に伝えなくちゃならない。
目を逸らさずに、向き合わなくちゃならない。



