逃げられるものならお好きにどうぞ。



「……私、人を待たせてるの。小林も、早く飲み会に行った方がいいよ」

「っ、何だよ、それ……」



顔を上げれば、今日初めて小林と目が合った。小林は何故かショックを受けたような顔をしていて、だけどその理由を、私は知らない。


そんな目で見つめられると、ほんの少しだけ、良心が痛む。

どうしてそんなにも悲しそうな顔をしているのか、その理由だって気になるけれど……それを振り切って、再び足を前へと踏み出した。



「っ、好きだ」

「……え?」

「百合子のこと……ずっと好きだった」



後ろから聞こえた声に、思わず足を止めて振り返ってしまった。

目が合った小林は、数メートル離れたこの距離からでも分かるくらい、真っ赤な顔をしている。その頬の赤さの理由が、降り注ぐ陽光の暑さのせいだけではないって、直ぐに分かった。