逃げられるものならお好きにどうぞ。



「確か百合子って、東京の方で働いてるんだよね? 今は帰省中な感じ?」

「うん、そうだよ。ゆっちゃんはこっちで就職したんだよね?」

「そうそう、今はレストランで働いてるのよ。……で、隣にいるのはもしかして……百合子の彼氏?」

「えっと、うん」

「やっぱり!? 何よもう、百合子ってばこんなカッコいい彼氏、いつの間に捕まえたの?」



興奮状態のゆっちゃんに、肩をバシバシ叩かれる。



「はじめまして! 百合子とは小中と同級生だった、橘由衣です」

「百合子さんとお付き合いさせていただいてる、黒瀬っていいます」



椿くんは外行きの微笑を湛えて挨拶をする。

そんな椿くんの笑顔を直視したゆっちゃんは、もうメロメロ状態だ。



「積もる話もあるだろうし、二人で話してきたら?」

「え、でも……」



椿くんが提案してくれるけど、椿くん一人残していくのは気が引けるし、申し訳ない。



「大丈夫だよ。駄菓子屋って、此処から近いんだよね?」

「うん。そこの角を左に曲がったら、真っ直ぐ行けば着くよ」

「それじゃあ、俺は先に行って待ってるから」



椿くんは気を遣ってくれたのか、私の返事を待つことなく、一人で歩いていってしまった。