逃げられるものならお好きにどうぞ。



「百合子さん待って。はい、これ」



追いついてきた椿くんが、帽子をかぶせてくれる。

今着ているワンピースに合わせて買った、つばの広い麦わら帽子だ。黒いリボンが付いていて、大人っぽいデザインになっている。最近のお気に入り。



「椿くん、ありがとう」

「どういたしまして。それにしても暑いね。新潟って、もっと涼しい地域なのかと思ってた」

「夏はすっごく暑いのに、冬は寒いし雪もすごく降るんだよね。雪かきとか本当に大変なんだよ」



そんな話をしながらも、頭の中で、近場で行けそうなところはないかと考えてみる。

スーパーにコンビニ、公園、図書館、それから……。



「あ、そうだ。ここから十分くらい歩いたところに駄菓子屋さんがあるの。多分まだやってると思うんだけど……そこでアイスでも買って食べない?」

「いいね。そうしよ」



前を向けば、道の先の方で、小学生らしき二人の女の子が、プールバッグを手に楽しそうに歩いている姿が見える。

私も夏休みの時は、仲良しの友達と、よく市民プールに遊びに行ったっけ。懐かしいなぁ。