逃げられるものならお好きにどうぞ。



「お母さんてば、変わらないなぁ。……椿くん、どうかした?」



お母さんの後ろ姿を見送りながら思わず呟けば、右隣から視線を感じた。

横を向けば目が合った椿くんの顔は、何だか楽しそうだ。



「ん? いや、お母さんと話す百合子さんの姿が、何だか新鮮だなって」

「そうかな?」

「うん。いつもより砕けた口調とか、雰囲気も違う気がするし……いつもより子どもっぽい感じがするかな」

「え、子どもっぽい?」



まさか子どもっぽいなんて言われるとは思ってもいなかったから、驚いてしまう。

年下の椿くんにそんな風に指摘されるのは、少し恥ずかしい。