逃げられるものならお好きにどうぞ。



「いらっしゃいませ。どうぞ、お席にご案内いたします」



店内はそこそこ混んでいたけれど、美代さんが席を予約してくれていたから、待たずに座ることができた。

私と美代さんは冷製パスタの日替わりランチセットを、皇さんがアイス珈琲を注文し店員さんが去っていったところで、私の真横で誰かが立ち止まる気配がした。



「あら、皇さんに美代さん?」



視線を右上に向ける。

そこに立っていたのは、艶やかな長い黒髪を下ろしている、目鼻立ちの整った垂れ目の女性だった。