逃げられるものならお好きにどうぞ。



「それじゃあ、早く行きましょう! 此処からすぐ近くのお店なんです」



美代さんが先陣を切って歩き出す。私と皇さんもその後を追いかけながら、私は不自然にならない程度に、皇さんから少しだけ距離をとる。

……だけど私の思い違いかもしれないのに、あからさまな態度をとるのは皇さんにも失礼だし、美代さんにだって不信感を抱かれてしまうかもしれない。


そんなことを悶々と考えていれば、皇さんに話しかけられる。



「嬢ちゃん、ピアス開けたんだな」

「え? ……あ、はい。椿くんに開けてもらったんです」

「そうか。よく似合ってる」



皇さんの雰囲気は、いつも通りの自然体だ。

やっぱり、あの時車内で感じた熱を帯びた瞳は、私の勘違いだったのかな……?