逃げられるものならお好きにどうぞ。



***


店前のテラス席でカフェラテを飲んでいた女は、ストローをくるくると回しながら、楽しげに呟いた。



「ふふ。本当に変わらないんだから」



目元を隠していたサングラスをずらして、ブラウンの瞳に椿と百合子の二人を視界に収めると、にんまり微笑む。



「今回は失敗しちゃったけど……やっぱり、奇跡的(ドラマチック)な再会には、それ相応の舞台(ステージ)が必要よね」



漏らした独り言は誰の耳にも届くことなく、晴れ渡った青空の下で霧散する。

そして、スマホに届いていた妹からのメッセージを開き、共に夕食をとろうというお誘いにOKの返事を返した。