逃げられるものならお好きにどうぞ。



「百合子先輩、おはようございます! すみません、お待たせしました……!」

「まだ時間になってないし、そんなに慌てなくて大丈夫だよ。でも、林くんはどうしたんだろう? いつもなら五分前には絶対に来てると思うんだけど……」



もしかして寝坊だろうか。林くんに電話してみようとスマホの画面を開けば、佐々木ちゃんが「え?」と不思議そうに首を傾げた。



「先輩、聞いてないんですか? 林さんなら、体調が優れないから先に帰らせてもらうって、今朝連絡がきてましたけど……」

「え、そうなの?」

「はい。会社の方にも自分から連絡をいれておくって書いてありました」

「そうだったんだ。でも体調不良だなんて、一人で大丈夫かな?」

「メッセージには、大したことないって書いてありましたけど……」



佐々木ちゃんはへにゃりと眉を下げて、心配そうな顔をしている。