逃げられるものならお好きにどうぞ。



***


「んん……あれ? 私、いつの間に寝ちゃってたんだろ……」



ベッドから上半身を起こせば、閉じられたカーテンの向こうが眩しいことに気づいた。


昨夜は確か、林くんが相談したいことがあると部屋を訪ねてきて……それからの記憶が全くない。

林くんが悩みを打ち明けている最中に堂々と眠ってしまうなんてことは、多分、なかったと思うんだけど……。



(とりあえず支度をして、後で林くんに聞いてみよう)



顔を洗って化粧をしてスーツに着替えてと身支度を整えてから、昨日のうちに決めていた待ち合わせ時刻の十分前にロビーに向かう。

どうやら私が一番乗りだったようで、二人の姿はまだ見えない。


空いているソファ席に座って待っていれば、待ち合わせ時刻の三分前に、佐々木ちゃんが小走りでやってくる。