逃げられるものならお好きにどうぞ。



「は、何だよ、それ……お前、狂ってるよ」

「はは、百合子さん以外の誰にどう思われようが、何とも思わないからね。……あぁ、それに、俺の許可なく百合子さんに触れた男もそうだよ。地の果てまで追いかけて、後悔させてやらないと」

「っ、何言っ……」



蒼ざめた林が口を開いたとほぼ同時に、椿は容赦なく、その顔面に拳をふるう。

ベッドから転落した林は床に倒れ込んだが、椿はその右手を止めることなく、顔面や腹部を続けて殴った。


珈琲牛乳に睡眠薬を仕込まれていた百合子は、すぐそばで繰り広げられている喧騒にも目覚めることなく、ぐっすり眠っている。


暴走した椿を止められる者は、この場にはいない。



「も、もうやめ……ぐぅっ……」



林は制止の言葉も言わせてもらえずに、怒りで理性を半分飛ばしている椿からの暴力を、その身に受け続ける。