「あいつ、さっき洋食屋にいましたよね? 仕事先まで付いてくるなんて、ストーカーなんじゃないですか?」
「……はや、し、く……?」
林くんが何か話しているのは分かるけど、意識が朦朧としてきて、上手く聞き取れない。視界もかすんで、ぼやけていく。
手に持っていた牛乳瓶が、地面に落下した。だけどそれを拾う余裕もない。
「香月先輩も、本当は迷惑してるんですよね? だってあいつ、明らかに堅気の人間じゃないですよ。人を何人も殺してるような目をしてました。それに……教えてもらったんです。あいつは、ヤバい仕事をしてる人間なんだって。そんなヤバい男に捕まった香月先輩を救えるのは、俺しかいないって。だから……香月先輩。俺が貴女を、救ってみせます」
林は、百合子の目を真っ直ぐに見つめて、宣言するように力強い声で言い切った。
しかしこの時点で、百合子の意識は完全になくなっていた。
ふらついた身体を支えた林は、百合子を横抱きにすると、ベッドの上に静かに下ろす。



