逃げられるものならお好きにどうぞ。



「実は俺、悩んでたんです。これから自分がしようとしている行為は、本当に正しいことなのかって。むしろ、相手を傷つけてしまうんじゃないかって」



何の脈絡もなく語り始めた林くんは、自身の膝の上で握った拳をジッと見つめている。



「でも、やっと決心がついたんです。もし傷つけたとしても、最終的には、それが守ることに繋がるんだって」

「守ることに繋がる? 林くん、さっきから何の話をし、て……」



自分の口から、熱い吐息が漏れる。

そこでようやく、身体の異変に気づいた。


何だか酔っぱらった時のように頭がふわふわするし、平衡感覚までおかしくなっている気がする。

何これ。私、どうしちゃったんだろう……。