逃げられるものならお好きにどうぞ。



「うん、分かってるよ。仕事の邪魔をするつもりはないしね。その代わり、明日出張が終わったら一緒に帰ろう? 近くでご飯でも食べて帰ろうよ」

「明日は直帰になってるし、それは全然いいけど……まさか椿くんも、ここの近くに泊まるの?」

「うん、そうだよ?」

「椿くん、ほんと、いつの間に……」



平然と話す椿くんの顔に、反省の色なんて全く見えない。つまり後ろめたさとか、そういった類の感情は感じていないんだろう。

隠れたりせずに堂々と姿を現せちゃうところは、ある意味すごいと思うけど。



「それじゃあ、明日仕事が終わったら連絡して? 百合子さんが好きそうな美味しいお店、調べておくから」

「……うん。分かった」



出張にまで付いてくるのは、さすがに心配し過ぎだと思うし、ちょっとやり過ぎな気がするけど……でも、それを嬉しいと感じているんだから、私も大概なのかもしれない。