逃げられるものならお好きにどうぞ。



そして、ホテルから徒歩五分ほどの距離にある洋食屋さんで夕食をとろうということで、話が纏まった。

時刻は十八時過ぎで二組並んでいたけれど、あと十分も待てば席が空くとのことなので、このまま待つことにする。


お手洗いに行った佐々木ちゃんと、もう一度外で電話をしてくるという林くんを見送って、私は待合用のソファに腰を下ろした。


ソファの真横には、笹の葉が設置されている。それを見て、明後日が七夕であることを思い出した。

笹には色とりどりの短冊が飾り付けられている。



『テストでいい点がとれますように』

『ちーかわのおにんぎょうがほしいです』

『今度のサッカーの試合で勝てますように!』など、微笑ましいお願いごとがたくさん書かれている。


可愛らしい願いの数々にほっこりしていれば、一枚の短冊が目に留まった。



『だいすきな彼女が一生俺だけを見ていてくれますように』



あきらかに子どもの字ではないそれ。恋人がいるということは、ある程度は年のいっている人が書いたんだろう。

それにしてもこの筆跡、どこかで見たことがあるような気が……。


首をひねっていれば、後ろからトントンと肩を叩かれた。佐々木ちゃんか林くんが戻ってきたのかと思い、振り返る。