「俺と百合子さんは相思相愛だからね。――ということだから、百合子さんの隣には俺が座るね」
椿くんは、私と皇さんの間に強引に椅子を持ってきたかと思えば、そのまま座りこんでしまう。
だけど椿くん、今は仕事中じゃないのかな……?
「ったく、オマエなぁ」
「皇さんが言ったんだろ? 余所見してないで、ちゃんと見ておけってね」
椿くんと皇さんが、何やらコソコソと話している。その姿を横目にレモンサワーを一口飲めば、来客を告げるベルの音が鳴った。
カウンター席の方を見れば、マスターが視線で椿くんを呼んでいるのが分かる。
「椿くん、お客さんだよ」
「……はぁ、仕方ないか。皇さん、分かってるとは思うけど……もしもの時は、本気でやりあう覚悟も出来てるから。そのつもりでよろしくね」
――皇さんの方を向いている椿くんが、今どんな顔をしているのかは分からないけど……何だか怒ってる?
いつもと違って、声に棘を感じる気がする。



