逃げられるものならお好きにどうぞ。



「はい、百合子さん。レモンサワーだよ」

「ありがとう、椿くん」

「ちょっと椿さぁ、椿のせいで百合子ちゃんまで性格が悪くなったらどうするわけ?」



椿くんの肩をつんつん突きながら、萌黄さんは「不満です」といった顔で唇を尖らせる。



「どうするも何も……俺色に染まってくれるなんて最高だね。っていうか、仮に百合子さんの性格が悪かったとしても好きって気持ちは変わらないから、何の問題もないけど?」

「……あぁ、はいはい。聞いたおれが馬鹿でしたよー。クッソ、惚気やがってぇ」



だけど「それが何か?」とでも言いたげな顔をした椿くんの返答に、萌黄さんはうげぇっと顔を顰めた。

ビールが注がれたジョッキをゴクゴク呷りながら「はぁ、おれも色気むんむんのお姉さんとお付き合いしたいなぁ~」とぼやいている。