逃げられるものならお好きにどうぞ。



「ねぇねぇ百合子ちゃん、きーてるぅ? だから私はね、ぜぇったいに、あの連ドラ俳優は、浮気してるって思ってたのよ! 私はねぇ、そーいうの見る目は、確かなんだから!」

「はい、そうなんですね」



へべれけになりかけている美代さんの話にうんうん相槌を打っていれば、隣に向かい合って座っている萌黄さんと皇さんの会話が耳に入ってきた。



「あそこのシマの奴らは、最近きな臭い動きをしてるからな。拓斗も目を光らせといてくれ」

「はいはーい、了解しました」



何やらお仕事の話をしていたらしい。

萌黄さんはいつも通りへらりと笑みを浮かべているけれど、皇さんの顔は真剣そのものだ。