あちらの面子もあるのだろう。承諾した慎二に、先代組長は多額の賄賂を送りつけてきた。
慎二は金など要らないと突っぱねたかったが、皇組の実質のトップでもある組長(普段表に出てくることはなく、実質の指揮をとっているのは慎二ではあるのだが)は、それを受け取ってしまった。
こうやって何でも金の力で解決しようとし、それが出来てしまうところは、裏社会の汚い部分の一つだ。
そして今地面に転がっている男は、葛木組の中でも兄貴分の立ち位置にいたらしいが、その役職からは下ろされたらしい。
しかし、それだけの処分で腹の虫が治まるはずもなかったのが、椿だった。
もちろん、自身が刺されたことなどはどうでもいい。
百合子に危害を加えた男が今も尚、のうのうと同じ世界で息をしている。その事実だけで、腹の中にあるどす黒い感情が暴れ出しそうだった。
そこで慎二を通じて葛木組の先代にも話を通し、椿は廃倉庫に男を呼び出し、一対一のタイマンを申し込んだ。――その結果が、今のこれだ。
葛木組の先代も、不始末は自分で付けさせるとは言っていたが……まさかここまで圧倒的な力の差でボコられているとは、思ってもいないだろう。



