逃げられるものならお好きにどうぞ。



「……仕方ないから、あとは皇さんに任せるよ」

「任せるって……そいつ、すでに瀕死じゃねーか」

「だいじょーぶ。ザオラルって回復呪文唱えておけば、すぐに復活するから。そしたらまたボコっていいよ」

「その回復呪文、ぜってー失敗するだろ。ザオリクの方がいいんじゃねーのか」

「え、皇さんもゲームとかするんだ。意外」

「まぁ、昔な。今のはさっぱりだ」



他愛のない会話を繰り広げる二人の足元で、とうに意識を手放している男は、百合子を攫った張本人である、葛木組の組員の一人だ。


数多の違法売買に、今回の百合子の拉致、婦女暴行未遂。

本来なら即警察行きのところだが、慎二と葛木組先代との話し合いの末、今回の件は(おおやけ)にはしないとのことで話が纏まった。