逃げられるものならお好きにどうぞ。



「ふっ……やっぱ、子どもみたい」

「っ! だから、子どもじゃないってば!」



俺の顔を見て、一瞬目を瞠ったお姉さんだったけど、我に返ったかのよう、またむすっとした顔を作った。

そしてそのまま、背を向けてしまう。



「それじゃあ、私はそろそろ行くね!」

「あ、待ってよお姉さん」



呼びとめれば、律儀に足を止めたお姉さんが振り向いてくれる。



「ありがとう、お姉さん。――またね」

「? うん、またどこかで会うことがあれば……」



不思議そうにしながらも頷き返してくれたお姉さんに、俺は今度こそ、ひらりと手を振った。



――もし、この言葉が実現した、その時には。もう一度くらい、誰かを信じてみてもいいのかもしれない。あの人なら、きっと……。


そんな俺の小さな願いは、現実になった。