「あ!」
そのまま立ち去ると思ったのに、女が突然大きな声を上げるものだから、俺は下げかけていた目線を再び持ち上げる。
「ねぇ見て! 星が出てる! さっきまで雨が降ってたのに……すっごくよく見えるよ」
見上げた先にいた女は、星を写し取ったようなきらきらした目をして、子どもみたいに無邪気な笑みを広げながらはしゃいでいる。
「……お姉さんって、子どもみたいだね」
「なっ……これでも、れっきとした社会人ですから」
思ったままを口に出せば、笑っていたお姉さんは、むすっと膨れ面になった。
ころころ変わる表情が何だか可笑しくて、自然と口許が緩む。



